精神科・内科・漢方内科クリニック

佐瀬医院

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「からだ」のブログ

第1回『腸のお土を蘇らせる』

「からだ」のブログ 

もう、何年もテレビを見ない生活をしているため世事にとことん疎くなっている私ですが、

勉強先の先生から、「奇跡のリンゴの木村さんて凄いでしょ。」と何気に言われて何も知らず、

慌てて本を読み、映画も観させていただいたのがついこのあいだの話です。

 

震撼しました。

今でも震撼しています。

これをどうお伝えすればいいでしょうか。

まずは、ご存知の方も多いかも知れませんが、木村さんのお話を私なりにするところから始めます。

りんごは病気に弱く、農薬を撒かなければ事実上育てられない、最も農薬に依存した果物です。

木村さんはリンゴ農家に婿入りしましたが、市場に出せる綺麗なリンゴを作るには年十六回

様々な種類の農薬を撒かねばならず、奥さんが農薬過敏症で毎回ひどく苦しむのを見てある時、

無農薬無肥料の自然農法を試みることを決意します。

その結果は、惨憺たるものでした。

ありとあらゆる病気と害虫にやられ、ありとあらゆる試みをし、ありとあらゆる失敗をしました。

7年間、全くリンゴの花は咲かず、畑は差し押さえられ、家族とも極貧に落ち、病害虫の巣窟と

なった畑は周囲から疎まれ、孤立し、木も枯れかかってしまいました。

 

万策尽きた彼は死を決意し、夜、山に入り首を吊ろうとします。

ロープを木に引っ掛けようとしますが、失敗し向こう側に落ちてしまいます。

すると、目の先に野生の林檎の木が3本、青々を生えているではありませんか。

思わず駆け寄って見ると、足元の土が全く違うことに気がつきます。

ふかふかでいい匂いなんです。唖然として閃きます。

「りんごさんよお。なんでここまで教えてくれなかったのよ。なんで死んでお詫びをしなきゃ

いけないところまで黙っていたのよー。」

そういって彼は山を駆け下ります。

 

それから彼は、必死で土を調べあげます。

山の土と畑の土では、温度が全く違うこと、微生物の量も全く違うこと、下草を刈ってしまう事で

生態系の多様性がなくなり微生物が増えず、土壌に必要な養分が循環しなくなっていることに

気がつきます。

(もう一度、山にその木を見に行ったら、あの夜はりんごにしか見えなかった木が、

実はドングリだったそうです。)

 

さらに研究を重ね、彼が無農薬無肥料無除草の奇跡のりんごを手に入れるままでになんと、

彼が思い立ってから11年を要しました。

苦労はこれだけでは済まないのですが、このりんごが奇跡と言われる所以の一つに

「腐らない。」というのがあります。

一般栽培のりんごも有機栽培のりんごも放置すると腐ってしまいます。

木村さんの自然栽培のりんごはいい匂いを放ちながら枯れていくだけです。

一般栽培のりんごの木は農薬を撒かないとあっという間に病気にやられてしまいます。

木村さんのりんごの木は、病気になるとその部分だけ自らの葉を切り取るように落とし、

ちょうど同じ分だけ、新しく葉が育ちます。

 

これを知った時、私は愕然としてしまいました。

そういうことです。

そういうことなんです。

そっくりそのまま、私たちの話です。

私たちは、みんな一般栽培のりんごです。

私たちが薬と称しているものは、農薬です。

ものすごく優れているものもありますが、でも農薬です。

私は日々農薬を撒く人です。

それで治したと勘違いしてる人です。

でも、それが悪かというとそうは言えないんです。

私たちみんな、それが無いと腐ってしまう。

そこが問題なんです。

 

私をりんごの木に例えましょう。

光はこころです。

ですから、こころが曇ったり荒れたりしていると光は届かず病気になります。

葉は呼吸です。

新鮮な空気を吸うこと、そして、呼吸を整えることは、心と体を繋ぐためにとても大事なことです。

養分も必要です。

りんごは根から、私たちは口から取りますが、実は吸収するのは腸絨毛と呼ばれる

小腸のまさしくヒゲ根のようなひだから吸収されます。

土の中の微生物が有機物を分解し必要な栄養素を植物に供給するように、

腸の中の腸内細菌が私たちでは作れない栄養素を供給しています。

農薬の撒かれた土は微生物が育たないため何も分解できず何も産生できません。

だから硬く締まり、逐一肥料をやらないとすぐ枯れてしまいます。

防腐剤を筆頭とした様々な食品添加物や抗生剤などにより私たちは殺菌除菌を追求したため、

腸内細菌は減少貧困化し結果栄養不足に陥り、また共生のバランスが崩れたため自己免疫機能が

破綻し、あらゆるアレルギー反応に苦しめられるようになっています。

それを抑えるために常に薬が必要になります。

腸内フローラと最近よく言われますが、移動する私たちにとっては、

腸内細菌叢が体の大事なお土なんです。

だから薬を飲んでも、お土をなんとかしないとありとあらゆる病気にやられてしまいます。

自己免疫疾患やアレルギー、発達障害、認知症、がん、慢性疲労、どれも腸内細菌と

関係しています。

 

植物に自然栽培が必要なように、

私たちにも、微生物と共生し自らを治すことのできる体が必要です。

今の私たちは、化学物質に汚染され、ミネラル不足に陥ったいじけた植物のようなものです。

微生物に助けてもらい、何としても解毒し健康を取り戻さなければいけません。

 

なんてもったいないことを私たちはしてきてしまったんだろう。

歯噛みしても始まりません。

「腸のお土を甦らせる。」

 

結局、地球を健康にすることが私たちを健康にすること。

医者である前に、人としてこのことを真摯に受け止め、行動する人間でありたいと思います。

 

 

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